連休最終日深夜の無銭飲食未遂事件

三連休の最終日、そろそろ日も変わろうかという時間に突然電話が鳴った。正確には電話ではなくLINEなのだが、そんなことはどうでも良い。

LINEの主は、音楽界隈かつ、web制作関連で知り合った友人。突然「ちょっと話そうぜ」とか「飲もうぜ」と誘ってくるタイプの人ではないので、これは一体なんだろうと怪訝に思いながらも、手が放せないので後で折り返すことにした。

救出依頼

折り返しLINEを掛けると、彼は事の顛末を滔々と語ってくれた。

時系列で並べると、

  1. 新宿のルミネで財布を落とし
  2. 自宅最寄り駅に帰り
  3. ラーメンを食べた

ということらしい。

つまり、無銭飲食未遂状態でラーメン屋店内に拘束されているので、救出をお願いされたのだ。

私は彼の最寄り駅から2駅の所に住んでいる。時間にすると15分程度の距離であり、近い。

さらに私はフリーランスである。連休明けの明日はブルーチューズデイ、なんてことはなく、普通に深夜の救出劇に出動可能なテンションである。

そして、これは外出する良い機会である。つい最近5日間の引きこもりライフを満喫していた私ではあるが、決して外出が嫌いなのではない。出る必要がないから出ないだけなのだ。機会があれば乗ろう。

何より財布を落とした彼が気の毒である。目を閉じなくても彼の(´・ω・`)とした顔が大変容易に想像出来る。

ということで、謹んでこの依頼を引き受けることにした。ついでにラーメンでも奢ってもらおうと考えたが、彼は財布を持っていない。無理だ。

救出

それから30分位経過して件のラーメン屋に到着した。

彼はレジの横に(´・ω・`)とした後姿で佇んでいた。座ることすらも許されていないのだろうか。その哀愁漂う姿が気の毒すぎて思わず笑ってしまった。

挨拶もソコソコに1,000円札を渡して支払いを済ませ、救出完了。

ラーメン屋を後にした。

序章

彼にとってこれは苦難の序章に過ぎない。

財布には金銭は勿論、キャッシュカード、クレジットカード、保険証等の貴重品が入っていたらしく、これらに対する適切な処置を迅速に行わなければならない。ちょっと考えただけでも面倒臭すぎてやりたくない。

本当に気の毒なことだ。

気の毒と言っている場合ではなく、財布を落とすなんてことは「明日は我が身」である。落とさないための工夫や、落とした際の影響を最小限に抑える工夫を考えてみたが、普段の生活が煩雑になりそうなので導入を見送ることにした。「落とさないように頑張る」という精神論で頑張る。

交渉決裂

ところで、「財布を落としたので後日支払う」や「財布を落としたので家にお金を取りに帰る」という交渉は店側に通じるのか、気になる所だろう。

結論から言うと今回は通用しなかった。

パッと見は人畜無害な小市民だが、何故か人を引き付ける謎の魅力がある彼をもってしても通用しなかった。

件のラーメン屋がチェーン店だからということもあるかもしれない。各店舗で「柔軟な対応」を行うと、お上から雷が降り注ぐ可能性もありそうだ。

もしくは、過去に同様の言い分で食い逃げに遭ったことがあるのかもしれない。そういう嫌な体験があれば、全ての小市民は食い逃げ犯に見えてしまうことだろう。

もし救出に向かわなかったら

もし私が救出に向かわなかったら、彼は軽犯罪者になってしまったのだろうか。

気になったので1分ほどググって見たところ、どうやらその可能性は薄い模様だ。無銭飲食は詐欺罪が適用されるらしいのだが、最初から騙すつもりで店内に入り食事をしたことが立証出来ないと、詐欺罪として成立させにくいようだ。「財布落としたので帰りまーす」としても単に債務不履行、つまりお店に借金があるという気持ち悪い状態になるだけで、犯罪にはならないとか何とか。

そんな事情もあり、お店としては猜疑ある小市民を外に出したくなかったのでしょうかね。

結論

無銭飲食未遂状態に陥ったら、誰かに助けに来てもらうのが一番丸く収まる。

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